もともとはHP ProLiant MicroServer Turion II NEOという、一時期NTT-X Storeで叩き売りされていたアレを大事に使っていたのだけど、なんか年々調子が悪くなってきていて、ついに電源がうまく入らないみたいな感じになってきてしまったので、さすがにリプレイスと相成った。
これにはAMD Turion II Neo N54L Dual-Coreという2011年ごろ (!) のCPUが搭載されており、ざっくりN100の1/8くらいのパワーというショボさなようだった。合掌……。
QNAPとかSynologyなどの出来合いのNASを調達してもよかったけど、4ベイ以上・ミドルレンジ以上を狙おうとすると、以下のセットアップで組んでもそこまで値段が変わらなさそうだったのと、RAID-Z2なHDDどもを引き続きTrueNAS環境にスライドさせたいという都合や、TrueNASにそれなりに慣れていてプロプライエタリNASの機能にそこまで惹かれていないという事情もあり、自作することに決めた。
電気代が高騰している昨今、そもそもNASを手元に持つまでもなくて、Google Driveなりの大容量プランに課金するとか、Backblaze B2などの安いクラウドストレージとかにしたらいいのではという説もあるものの、まあロマンや主義とか信条の問題という感じ……。
お品書き
- ケース: Jonsbo N2
- マザーボード: ASUS N100I-D
- ほか
- OS領域用の2.5インチSSD
- M.2 - SATA x 5 変換
- SFX電源
- もともと持ってた3.5インチHDD x 4
ケース
Jonsboという中国メーカーのN2というモデル。秋葉原のいくつかのショップが輸入してたりすることもあるくらいのメーカーで、いまどき珍しく3.5インチベイを満載したケースをいくつもラインナップしている殊勝な奴らである。
- 乔思伯JONSBO — JonsboのPCケースラインナップ
- https://www.jonsbo.com/en/products/N2White.html
- 3.5インチHDDを5台搭載できるMini-ITX対応NAS向けPCケース、JONSBO「N2」発売 - エルミタージュ秋葉原
より高みを目指す人には、似たような形状でN3という8ベイバージョンのケースなども用意されている。こちらはフルハイトなPCI Expressなカードも1本使えるので (N2はロープロファイルだけ)、頑張ればSATA端子を8つ工面することは不可能ではなさそう。
で、Jonsbo N2の組立説明書はふつうにWeb上に公開されている。日本語は書かれていないけれど、まあこういうケースを買うくらいのパソコンオタクならバイブスで読める英語だろうし特に困らないと思う。
細かい話題
- 3.5インチベイのHDDは、HDD側にネジでシリコン製の固定具的なパーツを組み付けて、それを使ってケース側のレール的な構造にはめ込む、みたいな面白い構造になっている
- 制震・静音に効くのかな〜という感じ
- シリコンで大丈夫か?と思わないでもないけど、まあ紫外線にめちゃくちゃ当てるとかじゃなかったらNASの耐用年数ぶんくらいはさすがに保つのだろう
- 隙間に2.5インチベイがねじ込まれており、貴重なHDD用のベイを潰さずにシステム領域的なSSDを配置できる。わかってんじゃん
- SATAケーブルは付属してないので、HDDの本数分だけ用意する必要がある
Amazonとかでも並行輸入っぽいマケプレ業者から買えるけど、今回はAliExpressで買ってみた。送料込みで16000円ちょい。買ってから4日間くらいで中国から届くのはさすがにびっくりする。
マザーボード
ASUSのN100I-D。Amazonで2万円くらい。
Jonsbo N2とのマッチング的な観点だといくつか話題があって、
- ファンレスなので、CPUファンのクリアランス的な話は余裕
- ケース前面のUSB-C用のコネクタに対応する口がマザーボードにない
- イヤホンジャックと伝統的なUSB Type-A端子用のそれは普通にあるので大丈夫
- 背面のケースファンの電源は、本来HDDをぶっ刺す用のケース側の基盤上の端子から取ることが想定されてるっぽいけど、頑張ればマザボのファン端子に届く
- マザーボードにはSATA端子が1個しかないので、PCIeかSSD用のM.2からSATA端子を錬成しよう
- PCIeはロープロファイルのみで、ケース上方側 = PCIeの端子の反対側にはそこまで空間の余裕がないので、PCIeから変換して取り出す際にはそっちがわに端子が生えてるやつを選ばないほうが無難かも。SATAケーブルってきしめん的なフラットなやつだと取り回しが意外と微妙だと思うので…
- マザーボードに生えている貴重なSATAはOS領域のディスク用として、上述の2.5インチベイに滑り込ませたSSDに繋いだ
N100を搭載しているMini-ITXのマザーボードは、これ以外にはASRockのN100DC-ITXが有名どころだろう。このN100DC-ITXは、マザーボードへの電源供給がACアダプタ経由になるというのが大きな違いで、今回はHDD用に電源が必要になることがわかっていたので二度手間的になりそうだったのが嫌なので選ばなかった。
これ以外にも、有名メーカー製に限らなければ、中国製っぽい謎のメーカーによるゴリゴリのNAS向けMini-ITXマザーがそこそこあるっぽいのが結構気になってしまったけど、ここで冒険しすぎても仕方ないかなということで無難よりのチョイス。
ほか
電源はこれ。1万円ちょい。
HDD以外の消費電力はたかが知れてる構成のはずなので、まあなんでもいいかなと思って適当に選んだ。いまどきのSFX電源って、名が知れたメーカーで容量はしょぼくて安い、みたいなモデルはパッと探した限りなさそうな気がしていて、450Wなのはオーバースペックだろうけど、多い分にはよかろうということでこれを選んだ。
Jonsbo N2 + N100I-Dのセットに必要な、というか今回使った端子は以下の通り:
- 24ピン x 1 (N100I-D用)
- 4ピン +12V x 1 (N100I-D用)
- SATA電源 x 1 (OS領域のSSD用)
- ペリフェラル4ピン x 2 (3.5インチHDD用。SATA用の電源端子に変換する基盤がケースに最初から入っている)
M.2 - SATA変換は適当にこれを選んだ。4000円弱。
5端子あってシンデレラフィット感がある。バチバチに明るいアクセスランプが端子の数ぶん用意されているのだけど、Jonsbo N2は給気用のそこそこデカ目の穴が天面にメッシュ状に空いているので、このランプによる光が超目立つ感じで貫通して披露されてしまうのがやや厳しく感じる人もいるかも……。
自分は寝室とは別の部屋に置いてるので困りはしてない。棚の中に置いたりしたらまあという感じではある。
あとはRAMとOS領域用のSSD。ASUS N100I-DはDDR4のSO-DIMMなのに注意。それぞれ3〜4千円ぐらい。
おまけ: 雑ベンチマーク
4コア分 cat /dev/random > /dev/null
を実行してCPU使用率を100%に持っていった状態をしばらく放置して、CPU温度がどう変化するかのグラフ。
室温が25℃程度で、人間用の換気扇が回っている程度の環境 *1 でこの程度であれば50℃ちょいくらいで安定するっぽい、という感じ。夏に冷房なしの部屋で放置できるかどうかの検証は来年の宿題とさせていただきたく…。
*1:扇風機を当てるなど特別なインチキをしていない