なぜなら暇だから……
星新一のショートショートは小学校高学年くらいのときにめちゃくちゃ読んでいて、新潮文庫や角川文庫で刊行されているもののうち、少なくとも8割くらいは買ってもらっていたような気がするくらいだけど、ショートショートじゃないほうの著作にはほとんど触れてこなかった。
文庫本の巻末には、同じ著者などの著作の紹介なんかが載っているコーナーがあると思うけど、そこで目に入っても異質すぎて当時はあまりピンときていなかった。が、「夜明けあと」を数年前に Kindle で買ったまま積んでいたのをたまたま見つけて読んでみたところ、そのまま勢いよく他の2冊まで買って読み進めてしまった。内容はそれなりにハードだったりもするけど、慣れ親しんだ雰囲気の文体だからか、どんどん読み進められた気がする。
この「夜明けあと」は、明治時代のまあまあしょうもないニュース (と歴史の授業で習うような出来事) を時系列に淡々と並べていくという体裁になっている。星新一は大正時代の生まれなので、彼にとっても生前の出来事を扱っているということになる。
内容もさることながら、巻末に明治天皇が亡くなった際に存命だった著名人の年齢が一覧されていたりと、自分の近現代史に対するかなりぼんやりしたイメージをやや妙な方向から補うことができる本だった。明治時代はもう100年以上前に終わっているけど、世の中変わっていいるのか変わっていないのか、という感じでおもしろい。
かすかにデジャヴ感があるような……という気もしたけど、大分合同新聞のミニ事件簿のことを思い出していたのかもしれない。紙面だと夕刊に載っているやつで、実家にいたときは結構読んでいた。
https://www.oita-press.co.jp/minijikenbo/ontimewww.oita-press.co.jp
「明治・父・アメリカ」は、星新一の父である星一の半生についての伝記的な本。
いわきの名士の家に生まれた星一は、凄まじいやっていきを発揮しておりすごい、というのがあまりにも雑な感想……。努力を重ね、上京や渡米、アメリカでの起業を成し遂げ、いろいろあり星製薬を立ち上げたというところで終わる。その道のりの激しさだけでも十分面白いという本だと思うけど、これもまた当時の日本とアメリカの雰囲気を知ることができる本だと言える。とくに、日本からアメリカに留学や出稼ぎなりで渡っていた人々がどのように暮らしていたのか、という話題も楽しめる。
「人民は弱し 官吏は強し」は、星一が星製薬を創業し、それを更に成長させる中でアルカロイド系薬品に目をつけ、ケシ (アヘン) からのモルヒネの生成などを通して事業を伸ばしていたところ、競合や時の政府に目をつけられて大変な目にあう、というような内容の本。
これだけ読んでいると、帝国時代の政府はひどすぎるのでは、みたいに思ってしまうけど、この本に出てくる人名だったりでいろいろ調べていると、どうもそれだけではないのかもしれない、というような気もしてくる。とはいえ、星一がかなり理不尽な目に合っているのはそれはそれで事実であるようにも思えるし、あまり単純に片方を断罪できたりする話題でもないよな、というのが正直な感想。
もっと調べてみたい感じもするけど、ここから先は半分学術書みたいな本が次々出てくるという雰囲気で少しハードルが高い……。この話題を追うために次に読むとしたらこのあたりになるんだろうと思う:
という感じで、もともとゴールデンウィーク中に読み進めようと思っていた本はそんなに読めていない!! あと24時間ちょいしかないけどどこまでいけるかね
お題「#おうち時間」