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PCDJ しか使ったことない人向けの CDJ + rekordbox 移行ガイド

このエントリは #kosendj Advent Calendar 2016 の 14 日目です。


近年では、コンピュータおたくが機材ゼロの状態から DJ を始めるときには、たいていオーディオインターフェイス搭載の PCDJ コントローラを買って、それにバンドルされているソフトウェアを使って PCDJ をやる、というのがセオリーとされている。

今更言うまでもなく、PCDJ には多くのメリットがある。たとえば、CDJ やターンテーブルを買う場合と比べてイニシャルコストが相対的にめっちゃ安いとか、それまでパソコンで醸造してきた音楽ライブラリを何も考えずにそのまま使い始められるとか。

一方で、それなりにデメリットも存在する。たとえば、どこで DJ をするにしても巨大なコントローラーをせっせと抱えて持っていく必要があったり、コンピュータの調子が悪ければ音が止まったり、最悪の場合では PCDJ ソフトウェアが本番中にクラッシュしたり、などということが挙げられる。コンピュータに詳しければ、現場で問題が発生しても迅速に解決できるかもしれないが、そういう出来事はないほうがよいし、そのような自信がなければなおさらだろう。

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そして、こなれてくると巨大なコントローラー (個人的には愛情を込めてサーフボードと呼んでいる) を持ち運ぶのが面倒になりがちで、調べてみると最近の Pioneer 製 CDJ (以下単に CDJ と表記 *1 ) はめっちゃ高機能っぽいし、普通に DJ するだけなら全然なんとかなるんでは、という気持ちになってくるのではないか。俺はなった。

という感じの皆さんのための移行ガイドを書いていきます。移行とは言ったものの、完全に PCDJ を捨てるというわけではなく、共存共栄という道も残されている。

rekordbox™

PCDJ を使っていた人間が CDJ を使うにあたって、rekordbox を使わない手は無い。無料なので今すぐにダウンロードしてインストールできる。

rekordbox を使うと、PCDJ ソフトウェアでそうするように、予め楽曲ファイルの BPM ・拍情報や、キー (調) を解析・設定することができ、その情報ごとプレイリストやらを USB メモリにエクスポートできる *2。この拍情報を利用して、キューポイント・ループのクオンタイズや、複数台の CDJ 間での SYNC をすることができる *3

rekordbox dj に “課金” をすることで PCDJ ソフトウェアとしても使えるし、DDJ-RB を買ってたとかで既にそれを使っていた人であればその解析済みライブラリをそのまま CDJ に持っていくことが出来る。

rekordbox の使い方について細かい説明は省くが、PCDJ ソフトウェアを使っていればあまり難しいことはなく普通に使えると思う。

なお、以降の記述はバージョン 4.2.5 (執筆時点での最新版) を前提としている。

rekordbox ここに注意

FLAC と Apple Lossless (ALAC)

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使っていれば解析の際にモーダルが出るので気づくと思うけど、FLAC や ALAC を再生できるのは、現時点 (2016 年末) で最新モデルの CDJ-2000NXS2, CDJ-TOUR1 および XDJ-1000MK2 だけという点に注意する必要がある。これらの機種をすでに導入しているクラブはまだまだ少ないということを考えると、一旦 AIFF に変換するなどの対処が必要になろうかと思う。

USB メモリ

  • USB 3.0 に対応してないやつだとエクスポートにめっちゃ時間かかるので、そういうのを持ってなければ適当に買いましょう
    • 関東圏なら秋葉原のあきばお〜などで買って帰りに CREATORSLAND に寄り道するとよい、それ以外なら Amazon などで適当に買うのが無難
  • キャップはどうせなくすので、はじめからキャップレスだと気が楽なのと、キーホルダーを付けるための大きい穴があるとよい
    • キーホルダーで自己主張をしておくと、置き忘れたときとかに「これ○○さんのですよね」みたいになりやすくて便利
    • 現場では酒に酔った状態で扱うこともあると思うので、簡単に識別できると嬉しい。著名な DJ のみなさんも酒に酔って USB メモリを紛失している
  • 必要な容量は人によるとしか言いようがないけど、個人的には、16 GB あればそんなに問題なくて、32 GB だとまあまあ文句なし、64 GB あると絶対安心という感じ。無圧縮ファイルや可逆圧縮ファイルをたくさん持ち運びたい人は大きめの容量にするべき

ほとんどの CDJ は、MBR 以外のパーティションテーブルや、NTFS ないし exFAT なファイルシステムなどに対応していない点に注意したい。なぜか HFS+ は対応しているということになっているけど、MBR + FAT32 にするのが無難だと思う。今見たらパーティションテーブルやファイルシステムが CDJ に対応してなさそうなリムーバブルディスク上のボリュームは rekordbox に表示されないようになっているような気もする。

ひとまず、macOS でフォーマットするときは特に設定を確認したほうがよさそう。

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拍情報の調整

前述したとおり、拍情報を自動で解析できるものの、100% 正解のグリッドが設定されるわけではない。よくあるのが、半拍ずれていて裏拍がグリッドになっているとか、そういう間違いである。これらは手動で修正をすることで、SYNC やクオンタイズを使用する際に正確なパフォーマンスを行うことが出来る。というかこの辺は PCDJ でも一緒だと思う。

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ところで、rekordbox には、"パフォーマンスモード" と “ノーマルモード” の、2 つの解析モードが存在する。これらの違いについて説明する。

パフォーマンスモード

パフォーマンスモードは、リアルタイムに BPM を解析したときのような挙動をする。要は、アナログ / CDJ 時代の BPM メーターみたいな感じで、あるいは XML とかで言う Stream パーサーみたいなものと言えばソフトウェアエンジニアにはわかりやすいだろうか。

パフォーマンスモードは、途中で BPM が変わる曲や、正確なグリッドを打ちようがない生演奏の曲などに向いている。しかしながら、全体的にグリッドが少しずれたりというようなこともあるので、そういう場合は完璧なグリッドを設定するのは難しいだろう。

ノーマルモード

一方で、ノーマルモードは、普通の PCDJ ソフトウェアと同様に、曲全体で 1 つの BPM を持ち、どこかをグリッドの始点として設定する、というようなものである。全部 DAW で作られているような大抵のダンスミュージックとかについては、こちらのほうが正確なグリッドを打ちやすい。

俺はこうしてるっス

自分は、はじめに rekordbox にインポートする際には全てノーマルモードで解析を行い、一曲ずつ確認して、うまくグリッドを打てない曲だけパフォーマンスモードで解析し直す、というようにしている。

ちなみに、rekordbox では、ノーマルモードで解析した曲でも途中で BPM が変化する点を扱うことができる。BPM 表示のすぐ左にある “現在の再生位置以降の調整を行う” ボタンがそのためのボタンだ。

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  1. BPM が変わるところで、拍の始点に再生位置カーソルを合わせてこのボタンをクリック
  2. カーソル以前のグリッドの表示が薄くなって、以降のグリッドが強調されているような表示になるはず
    • 強調されてるエリアが現在の編集対象
  3. 該当ボタン右の BPM 欄を手動で編集したり、適当にグリッドを編集する

みたいな流れを繰り返すことでいい感じにできる。

SYNC MANAGER

左下にボタンがある SYNC MANAGER を使うことで、

  • iTunes のあるプレイリストに含まれている曲を自動でインポートする
  • この USB メモリにはこのプレイリストを常に最新の状態でエクスポートする

といったことを指定できる。もちろん、エクスポートするプレイリストは USB メモリごとに別々のものを指定できる。

オタクソングメタデータ管理前線 in iTunes 2016 - polamjaggy に書いたように、自分は DJ 用のセットリストのようなものも全部 iTunes で管理しているので、この機能をつかってそのまま自動でインポートされるようにしている。ここでインポートしたプレイリストは、フォルダ構造を維持したまま USB メモリにエクスポートすることもできる。

もちろん、この機能を使わずとも iTunes のプレイリストを参照できるし、iTunes などからドラッグ & ドロップすることで直接インポートすることもできる。

マイセッティング

どのビートでクオンタイズを行うのかとか、テンポレンジやジョグダイアルのモードはどうか、などという設定を、毎度出番の直前に CDJ で設定し直すというのは非常に面倒である。しかし、rekordbox の “環境設定” > “CDJ & デバイス” で予めそのような設定を行い、USB メモリにその設定情報をエクスポートすることで、CDJ に USB メモリを差し込んだときにそれを一発で反映させることができる。

CDJ と DJM

rekordbox 対応の CDJ を置いてあるような場所であれば、大抵は同じ Pioneer DJ 製の DJM シリーズな DJ ミキサーが置かれていると思うので、DJM シリーズを前提にした説明をする。

CDJ も DJM も、非常に取扱説明書の内容が充実している *4 ので、現行モデルの、特に現場で使う予定のそれに一通り目を通しておくことをおすすめする。

CDJ

Traktor とか Serato を使ってた人にとっては、何がなんだかという感じかもしれないけど、一番重要なフローは、

  1. 左上にある USB ソケットに自分の USB メモリを挿す
  2. 上のパネルみたいなやつの画面左の “USB” ボタンを押す
    • 一部モデルではタッチパネル画面内の左側にボタンが存在する
  3. ロータリースイッチをくるくる回して曲を選ぶ
    • ロータリースイッチは押し込んで決定
    • ロータリースイッチの付近に “BACK” ボタンがあって、それを押すと一階層上に戻る (再生中に選曲画面に戻るのもコレ)
  4. 別の CDJ に挿した USB メモリの曲を PRO DJ LINK 経由でロードするには、画面横の “LINK” ボタンを押す
  5. デフォルトだと曲が終わったらプレイリストとかの次の曲が自動で流れるので注意 (!!! CDJ !!!)
    • 慣れてないと次の曲が突然再生されて驚くみたいな事故が起こると思うので、ちゃんと縦フェーダーを落とす
  6. USB メモリを引っこ抜く前には、ソケットの下とかにある “USB STOP” ボタンを長押しする
    • Windows で言う “ハードウェアの安全な取り外し” みたいなやつ

という流れだと思う。他のボタンの役割は名前から想像できると思う。他のちょっとした注意点としては、

  • 再生画面でロータリースイッチを回すと波形の拡大・縮小ができる
  • CDJ / VINYL のモード選択は、PCDJ から入ったなら VINYL モードのほうがわかりやすいと思う
    • これは自分の主観なので、実際に触って確認したほうがよい
  • ループのアクティブ時の表示は IN と OUT 両方点滅 (個人的にはちょっとわかりにくいと思う)
  • USB メモリは複数準備しておくと安心
    • もし現場で突然 PRO DJ LINK が動かなくなっても *5 、2 つの CDJ にそれぞれ挿すことで曲を繋げるというメリットもある

とかそういう感じ。CDJ とかどれも同じやろみたいに思っているかもしれないが、意外と機種 (もしくはファームウェアのバージョン) ごとに細かい挙動が違うこともある *6。ホットキュー・メモリーキュー周りのボタン配置はかなり違うので、事前にどれを触ることになるのか確認をしておくとよい。

DJM

箇条書きで

  • PCDJ で Auto Gain のような機能に頼っていた場合は、何も考えずにミックスすると曲ごとに音量がぜんぜん違うということになると思うので、そのへんも意識する
    • 普通はイベント前の音出しのときに「マスターチャンネルのメーターのこの辺が目安です」みたいな話をすると思う、PCDJ でもそれ見ると思うし同じ感じで
    • 最近の DJM はデジタルミキサーなので、本当に音が大きすぎてクリップすると即座に不快な音になってしまう。しかしながら、実際には内部でヘッドルーム (余裕) が設けられており *7、レベルメーターで赤いエリアになっているからといって内部でクリップしているとは限らない。ちなみに、DJM-900NXS2 にはクリップインジケータが新しく搭載されたので、その本当にやばいときが分かる
  • EQ や各種フェーダーのカーブ特性・クロスフェーダーのアサイン状況はちゃんと確認する
    • 出番が自分の一個前の人と話して軽い打ち合わせというか確認もできるとグッドかもしれない
  • 右下のエフェクターはポストフェーダー
    • リバーブをかけている最中に縦フェーダーを落とすと残響音だけ残る、とか
    • 詳しくは取説の最後に載っているダイアグラムを確認するとよい

結論

取扱説明書を熟読したうえで練習をしましょう!!!!!!

いつどこで練習をするかというのは難しい問題だけど、買うとか、クラブのブースレンタルに突撃するとか、機材レンタル業者から借りるとか、いろいろな手がある。現実的には、慌てずにすむように完全なセットリストを用意したうえで何度かブースレンタルでやってみるなどするとよいのかなという感じがする。ロングミックス気味でやりながら、キューイングしてるほうのプレイヤーを触りまくっていろいろ試すというような手もある気がする。

余談

HID コントロール

CDJ とパソコンを USB で接続して、Traktor / Serato の HID コントロール (普通に MIDI だけ使うよりもリッチなコントロール) を使ったり、MIDI コントローラとして使うという手もある。しかし、これがなかなか難儀するのは、CDJ でコントロールできるとはいえ CDJ として使うときと細かい動作が違う *8 とか、画面の反応のラグがわりと知覚できるレベルであるとか、箱側が CDJ のファームウェアを更新してなくてバグることがあるとかで、普通にコントローラを持ち込んで PCDJ でやるよりもハイリスクという感じがする。現場に入るまで本番の環境をセットアップできないというのも大きい。音出しなどの際に十分に動作確認ができたりするのであれば、あまり問題ないのかなあとも思う。

#kosendj Advent Calendar の 9 日目の記事でもある、この id:mactkg のエントリでは、CDJ をそれぞれオーディオインターフェイスとして使う方法が紹介されているが、ミキサーが USB オーディオインターフェイスに対応している機種であれば、そっちから音を出すほうが手っ取り早いこともある (アグリゲートデバイスをこしらえる必要がない)。ただし、それをやると USB ケーブルがさらに 1 本増えることになる。

Serato とか Traktor の解析データを rekordbox と共有したい

こういうソフトウェアもあります:

が、こういうの使いだしたらハマりそうで面倒みたいな思いもあり、あるいは現状だとそこまで困ってないので使う動機がいまいち弱いみたいな思いもある。Serato の crate のフォーマットは以前に解析しようとしたけど面倒だったので途中で放置している。Traktor のプレイリスト (nml ファイル) はいたって普通の XML なので、何も考えずにパースできる。rekordbox も一定の形式を満たした XML を読めるとのことなので、やってみたい人はやってみるといいのではないか。

開発者向け - DJソフトウェア 「rekordbox」

こちらからは以上です。

*1:CDJ は Pioneer DJ 株式会社の登録商標です (商標 第5449038号)

*2:PC を直接 CDJ などと同じ LAN に接続することで、それを介して楽曲ファイルをロードできる機能もあるけど、あまり現場で使ってる人を見ない

*3:PRO DJ LINK がちゃんと設定されてればの話だけど、対応機種を置いてるのにそれを設定していない状況はかなりレアだと思う

*4:Pioneer DJ は日本の会社なので、日本語で全部書かれている (!!!)

*5:そんなことはそうそうなさそう

*6:逆に言うと、大まかな使い勝手はほとんど一緒

*7:ヘッドルームの大きさは変更できるので、実際にどれだけ余裕があるかは確認しないとわからない

*8:とくに CUE まわりが違うと思う

オタクソングメタデータ管理前線 in iTunes 2016

このエントリは #kosendj Advent Calendar 2016 の 4 日目です。

3日目のエントリは、id:asonas さんの #kosendj のやりかた - 良いあそなすちゃん でした。


今年の 9 月に開催された KosenDJ-bu #9 に参戦した polamjag です。タイミングを縫ってまた出たいですね。普段はつくばで生活をしています。

このエントリの投稿日時となっている 2016 年 12 月 4 日には、つくばでレギュラーとして参加している #ITF_DJ こと IMAGINE THE FLOOR. のメンバーで新宿にてイベントをやるということになっています。僕は DJ と VJ をしますので是非来てくれ!!!!!

IMAGINE THE FLOOR vol.11.5 -In TOKYO- - twinvite


まえがき

オタク特有の「複数アーティストの区切りバラバラ問題」に対応する - ハクチョウノミズウミ

わかるんだけど、たとえばアイカツ!曲の "わか・ふうり・すなお from STAR☆ANIS" とかどう分けるんだみたいな話になりませんか / あと iTunes は (UI が) がこれに一切対応してないんだなあ

2016/06/03 12:52

こちらの記事を読みましてのアレという感じで書いていたわけですが、長いこと下書きの肥やしになっており、しかし、そのまま肥やしにしておくのはもったいない感じがしていたので、#kosendj Advent Calendar 2016 に便乗して投稿しようという作戦です。


原始

アーティスト表記の難しさについて、上のコメントで挙げたものより複雑な例を挙げると、たとえばこのような CD が存在する。

プリパラ アイドルソング ♪コレクションbyそらマゲドン・み

プリパラ アイドルソング ♪コレクションbyそらマゲドン・み

Amazon におけるアーティスト表記 *1 には、

あろま&みかん&らぁら&みれぃ&そふぃ(cv.牧野由依渡部優衣、茜屋日海夏、芹澤 優、久保田未夢

とある。しかしながら、CD のタイトルにもあるように、劇中においてはこのメンバーが "そらマゲドン・み" というユニットとして活動をしたということになっている。

ところで、この CD のブックレットにおいて、 "そらマゲドン・み" として歌唱した曲のクレジットはこのように表記されている。

f:id:polamjag:20160603162933j:plain (エイベックス・ピクチャーズ EYCA-10539 ブックレット 1 ページ目より)

一方で、販売元の商品ページには次のような記載がある。

アーティスト名:そらマゲドン・み(cv.茜屋日海夏・芹澤 優・久保田未夢牧野由依渡部優衣

また、このアルバムは Spotify でも配信されていて、そちらでは

そらマゲドン・み(cv.牧野由依渡部優衣、茜屋日海夏、芹澤 優、久保田未夢)

という名前の単一のアーティストとして登録されているように見える *2

表記ゆれのことは一旦置いておいて、アーティスト欄が複数の値を列挙することに対応したとしても、このような構造を持ったアーティストを表現することは困難だと思っている。

というわけで、デカイことを言っているという感じになってしまったけど、楽曲のメタデータを "正しく"、もしくは "きちんと" 管理するというのは (様々な理由から) 大変な困難を伴うという前提を共有したうえで、どのように少しでもマシな状態に持っていくかという小手先のどうしようもないバッドノウハウについて述べる。

また、複数の理由から iTunes を唯一かつ絶対的・中心的な音楽ライブラリとしているという事情があるので、このエントリではそれを前提とした記述をする。ここで述べるものは、自分がよく聴き、また収集している楽曲のジャンル・文脈 *3 に依存している可能性が高いことにも注意して欲しい。

これは余談だけど、iTunes は最近クラシックとかオペラみたいな楽曲に特化したメタデータ関連の新機能を導入しているが、そのへんのは一切使っていない。

バッドノウハウ

以降、 メタデータのフィールド名について、区別するために英語で表記する (例: Album, Genre)。とくに強調したい場合は Artist のようにマークアップしてある。

スマートプレイリスト

とにかくあらゆる目的でスマートプレイリストを使っているし、オタク楽曲以外でもスマートプレイリストを乱用している。やりすぎていて、あまりスマートとは言えない気もする。

Criteria

ありがちなフィルター (オフボーカル、ソロ歌唱・別メンバー歌唱、…) *4 をそれぞれ一つのスマートプレイリストなどに集約し、それと別のプレイリストとを組み合わせたスマートプレイリストを作成することで、ある程度複雑な条件からなるスマートプレイリストの量産にかかる手間をかなり軽減できる。

iTunes においては、プレイリストフォルダも、そのフォルダが含むプレイリストの全楽曲を含むプレイリストとして扱うことができる *5 。この包含関係みたいなやつを利用することで、集合演算のような感覚でスマートプレイリストを量産できる。

たとえば (and (not "オフボーカル音源を集約したプレイリスト") ("アニメ α の楽曲全部が入ったプレイリスト")) という条件を指定することで、"アニメ α のボーカル曲だけ入ったプレイリスト" を作成できる。

固有名詞

少なからず "構造" を持っている情報について、どのように単なる文字列として表現するのかということについて考えていく。

Artist や Album Artist などについては、基本的に正規化のような行為を諦め、"原典" *6 になるべく忠実になるよう表記することにしている。

例外として、()[]{} などの一部記号は基本的に半角に統一している *7。これに深い理由はなくて、完全一致検索を楽にするのが最大の目的。また、人名の分かち書きについては、日本人の名前を日本語で表記するときに限っては分かち書きしないほう *8 で統一している。これも完全一致検索の手間の軽減が目的。

Genre

たとえば、Genre はたいてい前者に分類されるものだと思う。ロック とか ポップ とか、そういう標準で定められた奴しか使わないのであれば機能しにくいような気がするけど、自分なりに適当な規則を付けてやるとそこそこ効果を発揮する。

ちなみに、いくつかのジャンルについては、以下のような階層構造を取るようにしている:

-+-- Anime (アニメ関連)
 |   +-- Anime / Drama      (アニメ関連コンテンツのドラマトラックなど)
 |   +-- Anime / Soundtrack (アニメのサントラ)
 |   +-- Anime / Remix      (アニソンのリミックス音源)
 |   |   +-- Anime / Remix / Drum & Bass (アニソンをドラムンベースにリミックスしたやつ)
 |   |   +-- Anime / Remix / Dubstep     (アニソンをダブステップにリミックスしたやつ)
 |   :   :
 |
 +-- Pop
 +-- Drum & Bass
 +-- Dubstep
 +-- Electro House
 :

このような構造により、

  • GenreAnime から始まる: アニメ関連楽曲全般
  • GenreAnime と完全一致: (ボーカル入りの) 普通のアニソン
  • GenreAnime / Remix から始まる: アニソンのリミックス音源全般
  • GenreAnime / Remix完全一致: アニソンのリミックス音源 (ジャンル指定無し)
  • GenreDrum & Bass を含む: ドラムンベース楽曲全般 (アニソンをドラムンベースにリミックスしたものも含む)
    • GenreDrum & Bass を含むが、GenreAnime を含まない: アニソンリミックス以外を含まないドラムンベース楽曲

みたいな感じで、まあまあなんとなくマシな感じにできる。スマートプレイリストの条件で "から始まる" と "を含む" と 完全一致 を使い分けるのがミソ。ここではアニソンに限った話として具体例を示しているけど、他の何かにも応用できると思う。

とはいえ、これにも限界があって、あらゆる事柄をこのように階層化出来るわけではないので、様々な問題が生じる。

これは完全に自分の話なんだけど、複数の細かいジャンルを併記したいという場合にも / 区切りを使っていて、あるジャンル名の文字列において / が階層を表すものなのか併記を表すものなのかは文脈による、という状態になってしまっている。とはいえ、別の文字にしたところで何かが解決するというようなものでもないし、とくに変えるつもりもない。

Grouping

iTunes のプロパティ画面には、Grouping (日本語だと グループ) という欄がある。これは、ID3 タグの TIT1 フレームに相当するもので、

The 'Content group description' frame is used if the sound belongs to a larger category of sounds/music. For example, classical music is often sorted in different musical sections (e.g. "Piano Concerto", "Weather - Hurricane").

id3v2.3.0 - ID3.org

とある。が、なし崩し的にこの欄にレーベル名を保存している。ほんとうは TPUB フレーム がそういうのを保存するためのフィールドなんだけど、iTunes のプロパティから編集することができないし、スマートプレイリストの条件にもできないので、仕方なくこのようにしている。然るべきときが来れば、適当にスクリプトを書いてガッと変換するということになろうかと思う。

余談

Pioneer DJ の rekordbox とか、Traktor とか Serato DJ とかみたいな、PCDJ ソフトウェアは、"そういう" 用途に特化した、合理的なメタデータ管理機能が備わっている。特に rekordbox はかなりよく出来ているように感じる。しかし、様々な理由からそれらをメインの音楽プレイヤーや楽曲ライブラリとして使うことは難しく、今日もこうして iTunes を使っている。

サブスクリプション型サービス

(メタデータの壁というか、メタデータスキーマの壁)

Spotify では、複数人による楽曲はそれぞれ個別にアーティストへのリンクが貼られているし、リミックス曲を選択して "アーティストを表示" すると大抵はリミックスした人が表示されるようになっている。

いくつかオタクソングを確認したところ、少なくともエイベックス・ピクチャーズの楽曲については "キャラ名 (cv.声優名)" のような形式でアーティストが登録されていた。複数キャラクターによる楽曲は、それが複数並んでいるという感じで、声優で曲を絞り込むには普通に検索するしかない感じだった。

このへんの話を裏返すと、ユーザーがメタデータを操作することができないので、表記ゆれやミスとかがあっても、それを報告して直してもらうことしかできない、というような気もする。

MPEG-7

あと、ちょっと前に調べていたときに、ご存知 Moving Picture Expert Group こと MPEG が策定した規格として MPEG-7 (ISO/IEC 15938) というものをみつけた。雑に説明すると、XML でコンテンツのメタデータを書けるみたいなやつ。

XML Schema をざっと眺めたところ、このような状態だったので終了している。

iTunes の限界

ここまで述べてきたようなことをやりつつ iTunes に 2 万曲くらい入れると *9 *10 ほんとうに動作が重くて大変という感じになる。とくに、ライブラリに変更が入るような操作をすると、絶対に数秒は操作できないみたいな感じで、曲のプロパティを編集したり CD をインポートするときは集中力が必要、という世界観になる。今は Spotify のデスクトップクライアントの方が操作時のストレスが少ないような気もする。

このような記事などもあるが、現状ではまだまだやっていく必要があるような感じがする。

結論

ここまでやって何が嬉しいんだという感じもするし、正直何もしないのと比べて何が便利になっているのかは自分でもよくわからない。ただ、自分は曲名を覚えるのが苦手で、「こういう感じのメロディで、たしかジャケットが緑っぽかったはず」みたいな思い出し方をよくするので、絞り込み表示をする手段が多いに越したことはないだろう、という考えからこのような行いをやっている。

というわけで、以上は全く僕の持論なので、よりよい方法があれば是非教えて欲しい。

*1:これはいわゆるアルバムアーティストに相当すると考えるのが妥当と思われる

*2:マウスホバー時の underline をみることで、複数のアーティストが登録されている場合はそうわかるようになっている

*3:ダンスミュージック・アニソン・ポップス …

*4:自分の中では Criteria と呼んでいて、そのようなスマートプレイリストをそういう名前のフォルダに全部隔離している

*5:iOS のミュージックアプリだとなんか違ってめんどいよね

*6:ブックレット、ジャケット、Web サイトなどのディスコグラフィ著作権管理団体のデータベース など

*7:わざと全角文字を使用していることが文脈から明らかであればそのままにする

*8:"木村拓也" と書くか、"木村 拓哉" と書くかみたいな話で、ここでは前者

*9:Apple Music とか iTunes Match とかは一切使って無くて、全部ローカルにファイルを置いているだけ

*10:現状 iTunes Library.itl が 13 MiB, iTunes Library.xml が 57 MiB くらいあるっぽい

インフルエンザ

水曜の朝に起きたら猛烈に寒気がしたので、これはまずいと思い厚着をして更に寝て昼に起きたら 38 度後半の熱が出ていた。その日はだいぶ辛かったのと、祝日ということで病院が開いてなさそうだったのでそのままひたすら寝て過ごし、次の日に病院に行ったところインフルエンザと診断された。病院の先生いわく、今年はインフルエンザの流行が早い、ということらしい。

www3.nhk.or.jp

現時点で体温はほとんど回復しており、このようにブログをしたためるなどの知的活動が可能になっている。一方で、頭痛っぽかったり、腹痛がしたり、喉鼻がおかしかったり、妙に節々が痛かったりするので、インフルエンザを罹患しているのだという実感がある。


あまりにも唐突に症状が出た *1 ので、結構戸惑ったし、戸惑うとそのままググって情報を得ようとする癖というか習慣がついてしまっているので、最近話題のやつみたいなのはなかなか大変という感じがする。

健康情報とかみたいなジャンルだと、検索クエリに site:go.jp OR site:ac.jp を付与するみたいなハックが有効だけど、病気の症状そのものとか、対処法については、公的機関が直接情報を発信しているケースはそこまで見かけない感じがする。

*1:普通に寝て起きたら突然寒気みたいな感じだった